【脱イラレ】CanvaとAffinityでカッティングステッカー入稿データを作る完全ガイド

「オリジナルのカッティングステッカーを作って、車やキャンプギアに貼りたい!」
そう思ってデザインしてみたものの、ステッカー業者への入稿でこんな壁にぶつかっていませんか?
- 「入稿データはAI形式かパスデータでお願いしますと言われた……」
- 「Canvaで作った画像を送ったら、これでは切れませんと断られた」
- 「Adobe Illustrator(イラレ)は月額料金が高くて手が出ない」
その悩み、実は**「Canva」と「Affinity Designer」**を組み合わせることで、低コストかつ完璧に解決できます!
この記事では、月額制のイラレを使わずに、プロ顔負けの**「カッティングステッカー入稿データ」を作成する具体的な手順**を解説します。
初心者の方が一番つまずきやすい「パスの結合」や「アウトライン化」も丁寧に説明しますので、ぜひ最後まで読んで、世界に一つのステッカーを作ってみてくださいね。
なぜCanvaだけではダメ?カッティングステッカーの仕組み
そもそも、なぜ使い慣れたCanvaだけで入稿データを完結させるのが難しいのでしょうか?
まずは「カッティングステッカー」の特殊な仕組みを理解しておきましょう。
「印刷」と「カッティング」の決定的な違い
通常のシールとカッティングステッカーは、機械の動きが全く異なります。
| 特徴 | 通常のシール(印刷) | カッティングステッカー |
| 仕組み | インクを紙に吹き付ける | 刃(ブレード)でシートを切る |
| 必要なデータ | 画像データ(jpg, png等)でOK | 線の情報(パス/ベクター)が必須 |
| Canvaの弱点 | 得意 | 苦手(カットラインの細かい指定ができない) |
カッティングマシンは、データ上の「線」をなぞって刃を動かします。
Canvaで書き出しただけのデータは、見た目は線でも、機械にとっては「ただのギザギザした画像の集合体」に見えてしまうことが多いのです。
Affinity Designerが必要な理由
そこで登場するのが**Affinity Designer(アフィニティ・デザイナー)**です。
Adobe Illustratorとほぼ同等の機能を持ちながら、数千円の「買い切り」で使えるため、コストを抑えたいDIYユーザーに絶大な人気を誇ります。
- Canvaの役割: デザインのアイデア出し、素材の配置(土台作り)
- Affinityの役割: 機械が切れる「線(パス)」への変換、データの仕上げ
この「役割分担」こそが、最もコスパ良く高品質なデータを作る秘訣です。
【STEP 1】Canvaでデザインの原案を作る
まずはCanvaを使って、ステッカーのデザイン案を作ります。
ただし、カッティングステッカーにするためには、デザイン段階でいくつかルールがあります。
カッティングに向いているデザインのコツ
カッティングステッカーは「単色のシート」を切り抜くものです。以下の点に注意しましょう。
- 色は「黒」一色で作る
- 実際には白いシートで切る場合でも、データ作成上は「黒=残す部分」「白=切り抜く部分」と考えるとミスが減ります。
- グラデーションや半透明はNGです。
- 細かすぎる線を避ける
- 1mm以下の細い線や、鋭すぎる角は、シートを剥がすときにちぎれてしまいます。
- なるべく「太く」「単純な」デザインを心がけましょう。
- 写真は使わない
- 写真は使えません。イラスト素材やテキスト(文字)のみを使用します。
保存形式は「PDF(印刷用)」か「SVG」
デザインが完成したら、書き出し(ダウンロード)を行います。
- Canva無料版の人: 「PDF(印刷用)」を選択してください。
- Canva Pro(有料)の人: 「SVG」を選択すると、よりスムーズに連携できます。
ポイント
CanvaでSVG保存する際は、「透過背景」にチェックを入れると後の作業が楽になります。
【STEP 2】Affinity Designerで入稿データに仕上げる
ここからが本番です。書き出したデータをAffinity Designer(PC版またはiPad版)で開き、機械が認識できるデータに加工していきます。
1. データの読み込みとレイヤー確認
Affinity Designerを立ち上げ、先ほどのPDF(またはSVG)を開きます。
まず「レイヤーパネル」を見てみましょう。Canvaから持ってきたデータは、バラバラの「カーブ」や「画像」として認識されていることが多いです。
2. 最重要!「カーブに変換」と「パスの結合」
これが最も重要な工程です。文字や図形を、完全にひと繋がりの「図形」にします。
- すべてのオブジェクトを選択:
Ctrl + A(MacはCmd + A)で全選択します。 - カーブに変換:
- PC版: 右クリック → 「カーブに変換」
- iPad版: 編集メニュー → 「カーブに変換」
- ※これを行わないと、文字などのフォント情報が残り、印刷屋さんで文字化けしてしまいます。
- パスの結合(ブーリアン演算):
- 重なっている文字や図形がある場合、そのまま切ると重なり部分でシートが切れてしまいます。
- 全選択した状態で、ツールバーにある「結合(Add)」ボタンを押します。
- これで、複雑な重なりが「ひとつの輪郭」になります。
3. ビューモードで「ワイヤーフレーム」を確認
データが正しく作れているか確認するために、表示モードを切り替えます。
- メニューの「表示」→「表示モード」→「ワイヤーフレーム(Wireframe)」を選択。
画面上のデザインが「細い線」だけで表示されましたか?
この**「線」のとおりにカッティングマシンが動きます。**
- 線が二重になっていないか?
- 不要な四角い枠が残っていないか?
これらをチェックし、不要な線があれば「ノードツール(白い矢印)」で削除しておきましょう。
入稿前に最終チェック!失敗しない3つのポイント
入稿データを送信する前に、必ず以下の3点を確認してください。多くの業者がチェックするポイントです。
① 文字のアウトライン化は済んでいるか?
Affinityで「カーブに変換」を行っていればOKです。テキストツールのまま残っていると、業者側でフォントが開けず、エラーになります。
② 線の細さは規定以上か?
一般的に、線の太さは1.5mm〜2mm以上が推奨されます。定規ツールやグリッドを使って、極端に細い部分がないか測ってみましょう。細すぎると、施工(貼り付け)の際に破れてしまいます。
③ 画像(ラスター)データが混ざっていないか?
レイヤーパネルを見て、「画像(Image)」や「ピクセル(Pixel)」というレイヤーが残っていませんか?
カッティングステッカーに必要なのは「カーブ(Curve)」レイヤーだけです。
画像のレイヤーは削除するか、ペンツールでなぞってベクター化する必要があります。
よくある質問(Q&A)
Q1. Affinity DesignerはiPad版でも大丈夫ですか?
A. はい、全く問題ありません。
iPad版もPC版とほぼ同じ機能を備えています。
Apple Pencilを使えば、細かいノード(点)の修正はPCよりやりやすい場合もあります。
Q2. 業者が「AI形式(Illustrator形式)」を指定していますが、Affinityで入稿できますか?
A. 「PDF形式」または「EPS形式」で相談してみましょう。
Affinity DesignerからはAI形式での保存はできません。
しかし、ほとんどの業者は「PDF」や「EPS」形式のベクターデータであれば対応してくれます。
注文時の備考欄に「Affinity Designerで作成したPDFデータです」と一言添えると親切です。
Q3. Canvaで作ったロゴが画質の悪い画像しかないのですが……。
A. その場合は「トレース」が必要です。
画像データしかない場合、そのままではカッティングできません。
Affinity上で画像を下絵にして、ペンツールで上からなぞる(トレースする)作業が必要です。
まとめ:自分で作れば愛着も倍増!まずは1枚作ってみよう
カッティングステッカーの入稿データ作成は、一見難しそうに見えますが、**「Canvaでデザイン案」→「Affinityでパス結合」**という流れさえ掴めば、誰でも作成可能です。
今回の手順のおさらい
- Canvaは「白黒」でデザインし、PDFかSVGで書き出す。
- Affinityで読み込み、「カーブに変換(アウトライン化)」する。
- 重なる部分は「結合」して、ひとつの図形にする。
- ワイヤーフレーム表示で、カットラインを確認する。
高価なAdobe Illustratorを契約しなくても、手持ちのツールとAffinity Designerがあれば、プロ品質のデータは作れます。
自分で苦労して作ったデータが、実際のステッカーとして手元に届いたときの感動はひとしおです。
まずはシンプルなロゴや文字から、データ作成にチャレンジしてみてくださいね!
【次のステップ】
- Affinity Designerを持っていない方は、公式サイトでフリートライアル(無料体験)がないかチェックしてみましょう。
- もしデータ作成がどうしても難しい場合は、簡単な手書きラフを送るとデータ化してくれる親切なステッカー業者を探すのも一つの手です。
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