【プロ直伝】ORACAL 651のきれいな剥がし方!糊残りと再利用の真実

愛車やお店のウィンドウ、オリジナルグッズの作成に大活躍の「ORACAL® 651」。 耐久性が高く、色数も豊富でDIYユーザーにはおなじみのカッティングシートですよね。
でも、いざデザインを変えようとしたとき、こんなお悩みはありませんか?
「爪でカリカリしても全然剥がれない…」 「無理やり剥がしたら、糊(のり)がベタベタに残ってしまった」 「剥がしたステッカー、もったいないからまた使えないかな?」
その気持ち、すごく分かります。実はORACAL 651は「永久接着(Permanent Adhesive)」と呼ばれる強力な糊が使われているため、普通に剥がそうとすると失敗しやすいんです。
この記事では、カッティングシートのプロが実践する**「素材を傷つけないORACAL 651の剥がし方」と、意外と知られていない「再利用(リユース)のテクニック」**を徹底解説します。
これを読めば、頑固なステッカーともサヨナラして、次の新しいデザインをすぐに楽しめますよ!
なぜORACAL 651は剥がれにくいのか?
まずは敵を知ることから始めましょう。なぜこのシートはこんなにも頑丈なのでしょうか?
「永久接着」の特性を知る
ORACAL 651は、業界標準の中期用(屋外耐候3〜6年)カレンダーフィルムです。 この「651」最大の特徴は、溶剤系のアクリル系強粘着剤を使用していること。
| 特性 | 詳細 | 剥がしやすさへの影響 |
|---|---|---|
| 粘着タイプ | 永久接着(Permanent) | 一度貼ると、簡単には剥がれない設計 |
| 素材 | 塩化ビニル(PVC) | 温めると伸びるが、冷えると硬い |
| 厚み | 75ミクロン(0.075mm) | 薄いため、劣化するとボロボロ千切れやすい |
つまり、「剥がすことを前提としていない」のが651なのです。(※剥がしやすいタイプは「631」という別シリーズになります)
経年劣化による硬化のリスク
貼ってから数年経った651は、紫外線によって硬化し、ひび割れを起こしやすくなります。こうなると、シールのようにペラっと一枚で剥がすのは至難の業。「温め」と「ケミカル」の力が不可欠になります。
準備するものリスト(傷を防ぐ道具)
爪や金属のカッターで無理やり剥がすのはNGです!車やガラスを傷つけないために、以下の道具を揃えましょう。
- ヒートガン(またはドライヤー)
- プロはヒートガンを使いますが、家庭用のドライヤーでも十分代用可能です。
- プラスチック製のスクレーパー(ヘラ) *
- 金属製は厳禁。100円ショップの「シール剥がしヘラ」や、カー用品店のプラスチックカミソリがおすすめ。
- 粘着剥がし液(または無水エタノール)
- 柑橘系(リモネン)のクリーナーや、ステッカー除去スプレー。
- ウエス(布)やキッチンペーパー
- マスキングテープ(作業範囲の保護用)
【実践】プロがやる「傷つけない」剥がし方3ステップ
道具が揃ったら、いよいよ剥がし作業です。ポイントは「力任せにやらない」こと。
1. 温める(熱で糊を緩める)
これが最も重要な工程です。 ドライヤーやヒートガンで、ステッカーの表面を温めます。
- コツ: 指で触って「熱い!」と感じる直前くらい(約50〜60℃)が目安。
- 注意: 温めすぎるとシートが溶けたり、対象物(車の塗装など)を傷めたりするので、一点に集中させず動かしながら温めてください。
2. 角度をつける(鋭角に引く)
十分に温まったら、端っこをプラスチックヘラで少しめくります。 ここでのポイントは**「引っ張る角度」**です。
- NGな剥がし方: 垂直(90度)に引っ張り上げる。→ 糊が塗装面に残りやすくなります。
- OKな剥がし方: 表面に沿うように、鋭角(180度近く)に折り返してゆっくり引く。
「シートを伸ばしながら剥がす」のではなく、「糊を切る」ようなイメージでゆっくり進めましょう。途中で硬くなったら、再度温め直します。焦りは禁物です!
3. 糊残りを除去する(仕上げ)
きれいに剥がれたように見えても、薄い糊の層が残っていることがよくあります。 ここで「ゴシゴシ擦る」のはやめましょう。摩擦熱で糊が伸びて広がるだけです。
- シール剥がし液(または無水エタノール)をウエスに含ませる。
- 糊跡の上に置いて、数分パックして浸透させる。
- 糊がふやけたら、優しく拭き取る。
プロの裏技: どうしても落ちない頑固な糊には、「WD-40」などの潤滑油スプレーが効果的です。油分で糊を溶かし、その後でパーツクリーナー等で脱脂すればピカピカになります。(※プラスチック樹脂への使用は注意してください)
ORACAL 651の「再利用」テクニックとは?
さて、検索されることが多い「再利用」についてです。 結論から言うと、一度貼って剥がしたORACAL 651のステッカー自体を、別の場所に貼り直すことはほぼ不可能です。
651は剥がす際に伸びて変形してしまうためです。しかし、「素材」としての再利用なら方法はあります!
【活用術1】捨てないで!「端材(スクラップ)」の活用
カッティングマシンでカットした後に出る、文字以外の余白部分や、小さすぎて使わなかった切れ端。これらを捨てていませんか?
- ステンシルとして使う: 塗装やスプレーをする際のマスキング(型)として利用できます。
- ドットやラインのアクセントに: パンチで穴を開ければ、小さなドットシールが量産できます。スマホケースや手帳のワンポイントに最適です。
- テストカット用: 次回のカット圧調整(刃の深さ確認)のために、小さな端材は必ず保管しておきましょう。
【活用術2】転写シート(アプリケーションシート)の再利用
ステッカーの上に貼る透明な「転写シート(アプリケーションテープ)」。これは一度きりで捨てる必要はありません。
粘着力が極端に落ちるまでは、3〜5回程度は使い回しが可能です。 剥がした転写シートは、元の台紙(剥離紙)に戻して保管しておきましょう。これによりコストを大幅に削減できます。
【活用術3】裏紙(剥離紙)の再利用
ステッカーが貼られていたツルツルの台紙(シリコンペーパー)。これも意外と使えます。
- シールの仮置き場: 別のシールを一時的に置いておく場所に。
- 糊付け作業の下敷き: 糊がくっつかないので、工作マットとして優秀です。
よくある質問(Q&A)
Q1: 車のボディに貼った651を剥がすと、日焼け跡は残りますか?
A: 長期間貼っていた場合は残る可能性があります。 ステッカーの下の塗装は紫外線から守られていたため、周囲の色が褪せていると「跡」として目立ちます。これはコンパウンド(研磨剤)での磨きである程度馴染ませることができます。
Q2: 室内用の「ORACAL 631」と何が違いますか?
A: 粘着力の強さと表面の仕上げが違います。
- 651(今回解説): 光沢あり(グロス)、永久接着。屋外・車・看板向き。
- 631: つや消し(マット)、再剥離可能。室内・壁紙(ウォールステッカー)向き。 壁に貼るなら、剥がしやすい631を選びましょう。
Q3: 寒い日に剥がしても大丈夫ですか?
A: 避けたほうが無難です。 気温が低いとビニールが硬化して「パリッ」と割れやすくなり、剥がすのが非常に困難になります。ドライヤーで温めれば可能ですが、暖かい日中に作業するほうが断然スムーズです。
まとめ:正しい知識で快適なカッティングライフを!
ORACAL 651は強力だからこそ信頼できる素材ですが、剥がすときは「熱」と「ケミカル」を味方につけることが成功の鍵です。
今回のポイントおさらい
- 無理に剥がさない: ドライヤーで温めて糊を緩める。
- 道具を使う: プラスチックヘラとシール剥がし液を準備。
- 再利用の考え方: 剥がしたステッカーは諦め、端材や転写シートを賢く使う。
きれいに剥がせれば、愛車やグッズはまた新しいキャンバスに生まれ変わります。 さあ、古いステッカーをスッキリ剥がして、新しいデザインに挑戦してみませんか?
カッティングステッカー見積システム
カッティングステッカー見積システム
ステップに沿って入力するだけで、簡単に見積もり・注文ができます。
他にステッカーのデザインはありますか?


